2015年4月25日土曜日

デフレとインフレ 格差拡大に違いあり

左派系の野党や新聞が「安倍政権で格差が拡大した」とさかんに主張している。おかげで学問的に純粋なピケティ氏まで引き合いに出されて、氏はえらい迷惑だろう。しかし野党やマスコミには格差拡大に2つのタイプがあることなど考えたことも無いに違いない。格差の拡大には2つのパターンがあると考えられる。

一つはデフレ型だ。

これは失われた20年のデフレ環境において顕著に観察されたタイプです。デフレ不況による企業倒産やリストラにより失業率が悪化し、「一部の労働者が貧困化する」現象です。ですから残りの多くの労働者は関係ないし、それどころか物価下落の影響で相対的に富裕化する。その結果、一部の貧困層とそれ以外の人々の間に格差が発生するわけです。ブラック企業の巣窟となります。

もう一つはインフレ型だ。

インフレとは一般に好景気になると生じると考えられます。この場合は「一部の資産家など高額所得者の富裕化が進む」ことにより、一部の金持ちとその他大勢の人々の間で格差が拡大します。上位10%あるいは1%の富裕層に富が集中する現象です。

両者には格差の質に大きな違いがあります。簡単に言えば、デフレ時には「一部の人の貧困化による格差」、インフレ時には「一部の人の富裕化による格差」です。さて、問題の大きさから言えばどちらなのでしょうか?もちろん、左派はインフレに猛反対しているようなので、一部の人が貧困化するのは容認するのでしょう。

当然ですが、貧困対策も両者では異なり、デフレ時には国民にくまなく増税して一部の貧困層に再分配する方向性でしょうし、インフレ時には一部の富裕層にだけ増税して大衆との差を縮める方向性でしょう。なるほどデフレ容認派の民主党が消費税の増税を強固に主張するのはそのためなんですね。

左派系の野党やマスコミから「デフレとインフレの格差問題の違い」なんて話が出ているとは聞いたことがありません。何か考えはあるのでしょうか、それとも考えも及ばないのでしょうか、それとも単に安倍政権に反対しているだけでしょうか。代案のないところをみると、どうやら反対しているダケとしか思えませんね。