2018年6月11日月曜日

経済をおカネのやり繰りで考えるな

現在は貨幣経済の制度であるため、経済活動において大きく扱われるのはおカネです。そのため、おカネにばかり意識が集中して、経済の本質を忘れてる人が多すぎます。経済の原点は生産と消費です。

これはどんな経済学派でも、その根幹に生産と消費があるはずです。ただし、計画経済とは違って市場経済の場合は供給力を直接に操作するのではなく、おカネを使って(=投資)、より適切な供給力を構築すること、そして消費のための分配の仕組みを構築する必要があります。

ただし、方法が間接的なので、様々な方法論が考えられるわけで、そこで「俺の方が正しい」と喧嘩になるわけです。どの理論が正しいか、それは最終的には結果でしか判断できないかも知れません。

しかし、本質はいかに供給能力(生産力)を高めるか、そして、それによって生産された財をいかに消費(分配)に結びつけるか、これが核心です。大切なのは「モノやサービス」です。

老後のためにいくらおカネを貯めても、それだけで老後の生活が保障されるわけではありません。老後の生活を支えるための供給力をいかに維持拡大するかが重要です。デフレを放置して供給力が低下してしまえば、いくらおカネを貯めても、まったく意味がありません。

もちろん、前世紀のように投資が活発な時代であれば、貯蓄はどんどん投資に向けられますから、貯蓄=供給力の強化になりました。しかし時代とともに経済環境は変化し、今や貯蓄過剰・投資不足です。貯蓄するだけでは、投資は行われません。いつまでも古い時代の常識は通用しません。

こうしたことは、おカネから少し離れて客観的に考えるなら、誰でもわかることでしょう。しかし新聞テレビに出てくる話は「供給力」ではなく、ことごとく「おカネ」なのです。そのため、本質を見通す思考力がすっかり落ちてしまいます。

「借金ガー」というのもカネの話です。財政再建して、それで供給力はどうなるのか?あるいは消費はどうなるのか?そのような視点がまったくありません。あるのはカネの帳尻を合わせることだけ。しかし冷静に考えるなら、財政が破綻するより、供給力が破綻するほうが遥かに深刻な問題です。なぜなら、最悪でも財政の破綻はカネを刷れば解決できますが、供給力の破綻を解決する事は極めて難しいからです。

世界大恐慌は財政破綻が原因じゃありません。デフレです。

世の中のおカネを回し、デフレを解消して供給力を拡大しなければ、財政黒字は達成しても、いずれすべての国民が貧困化してしまうでしょう。