2016年5月26日木曜日

戦争の記憶を伝える=恨みを伝える

政争の記憶を後世に伝えることが大切だという。しかしその意図は発言者によって同じとは限らない。戦争の記憶を後世に伝えることが、他者への恨みを伝えることである点を忘れてはならない。

戦争の記憶を後世に伝えることは、戦争を防ぐためには重要だが、戦争の記憶はかならず恨みの感情を伴う。伴わないはずがない。しかし恨みの感情は、戦争の記憶を乗り越えて、戦争を戦った両国間の未来志向の関係を必ず阻害する。

人間は感情の生き物だからです。

つまり、現実的に言えば、戦争の当事者がすべて世を去り、戦争の記憶が「適度に」消え去らない限り、本当に未来志向の両国関係は決して成立しない。戦争の記憶を鮮明に後世に伝え、事あるごとに繰り返し、かつ恨みなき、感情のわだかまりのない関係など、あり得ない。偽善だと思います。そんなことが歴史上にあったためしがあるのでしょうか。

ベトナムとアメリカの関係を見れば、その意味がわかるはず。
そして韓国と中国と日本の関係も、それを裏付けます。