2018年7月28日土曜日

米国に必要なのは関税ではなくヘリマネ

トランプ米大統領は自国の貿易赤字を問題として、関税の引き上げに踏み切りました。しかし米国民の生活向上と貿易赤字解消には、関税よりもヘリマネによる国民給付が有効でしょう。

なぜ貿易赤字が問題なのか?その理由として「雇用が増えない」「賃金水準が低くなる」ことがあげられるでしょう。つまり、安い輸入品との競争によって米国内における生産活動が妨げられ、米国民の失業が増え、また生産コスト競争によって賃金が下がる。そこで海外から輸入される安い商品に関税を掛けて国内価格を上げ、国内生産を維持し、雇用や賃金の向上をもたらそうと考えるわけでしょう。

しかし、いまここで関税を引き上げる必要はあるのでしょうか?おそらく関税よりも、ドルを発行して国民に給付金をどんどん配る「ヘリコプターマネー」の方が方法としてはスマートでしょう。

ヘリマネを実施すれば、雇用や賃金の引き上げによらずとも、米国民の生活水準を確実に引き上げることができるからです。考えてみれば、ドルの発行に必要は原価は、ほぼ「タダ」です。いわば、紙切れをバンバン発行して(電子的には印刷すら必要ない)、海外の労働者が働いて生産した「財」を、実質的に「タダ」で手に入れることができるわけです。

しかも、米国民の購買力を引き上げるだけではありません。トランプ氏は日本などに対して「通貨安を誘導している」と非難していますが、米国がヘリマネを実施すればドルは安くなるでしょうから、ドル安によって貿易赤字が縮小し、米国の輸出産業がダメージを受けることにも歯止めが掛かるわけです。

そもそも現在、米国のFRBが自国の国内的な事情によって金利を引き上げているのですから、ドル高になるのは当然の流れであって、にもかかわらず日本などを「為替安を誘導している」などと非難するのは筋違いも甚だしいところです。

また関税を利用することで貿易赤字を無理に解消することは、これまでの米国の方針を突然に、しかも急激に変更することであり、あまりに唐突な態度です。世界の他の先進国にとって、そのやり方は受け入れがたいでしょう。もっと時間や協議が必要です。

ヘリコプターマネーによって米国民の国民所得を引き上げ、その結果としてドル安になれば、必然的に輸入の拡大にも歯止めがかかるようになるはずです。その方が、米国民にとっても、世界の他の先進国にとっても、よりプラスになる対応策だと思うのです。

(追伸)

そういえば、大統領選挙では、中・低所得層の減税も公約にしていた記憶があるけど、ヘリマネで減税という方法もある。