2018年2月20日火曜日

中国民主化が朝鮮統一の必要条件

朝鮮半島の南北統一は素晴らしいことだし、是非にも実現して欲しいと思います。しかし南北友好の延長線に統一の実現があるとの甘い考えは、今すぐに捨てたほうが良いでしょう。現実を直視すべきです。

南北統一は素晴らしいし、民族が再び一つの国家になって欲しい。大賛成です。また南北の人々の交流も悪いことではない。どんどん盛んになって欲しい。しかし人々の交流と政府はまったく別の次元です。韓国の人々は北朝鮮の政治体制がどれほど自国とかけ離れているか冷静に考えた方が良いと思います。

韓国の中には、最近の北朝鮮の甘言に惑わされて、南北の人々の交流の延長線上に平和統一があるという、甘い気持ちの人々がいるように思われます。しかしこれは北朝鮮の独裁政権に力を与えることになり、北朝鮮政府が延命すればするほど統一はさらに遠くなるでしょう。なぜなら、北朝鮮の体制が崩壊することでしか南北朝鮮の統一はあり得ないからです。当然です。韓国は民主国であり、北朝鮮は独裁国なのですから。

そして、北朝鮮の体制が崩壊するかどうか、それはまさに中国にかかっています。それは歴史を振り返るなら容易に想像できます。

東西ドイツが統一できたのはなぜか?ソビエトの体制が事実上崩壊したためです。旧・東ドイツ政権を支えてきたソビエトの影響力が消失したためです。同様に、もし南北朝鮮の統一が実現するとすれば、それは中国の一党独裁体制が事実上崩壊し、民主国家に生まれ変わることが条件でしょう。今の北朝鮮は中国の後ろ盾によって支えられているのであって、もし中国が北朝鮮に関わらなくなれば、早晩、北朝鮮は体制を維持できなくなり、南北の統一は急速な実現に向かう可能性があるはずです。

ただし、北朝鮮は旧・東ドイツほど理性的な政治体制ではありません。共産党一党独裁よりさらに凄い「キム一家による独裁」体制です。ほとんど専制君主の国なわけです。こんな国と平和的に統一できると本気で考えている人が居るとすれば、理論的な判断力が欠落しているとしか思われません。

それにしても、中国が北朝鮮の体制を支持し続けている限り、南北朝鮮の統一があり得ないのは間違いありません。ですから南北統一にとって最も重要なことは「中国の政治体制の崩壊」すなわち「中国の民主化」でしょう。

残念ながら朝鮮半島の南北統一は、韓国や北朝鮮の人々の気持ちではなく、「中国・ロシア・アメリカによる軍事パワーゲーム」の結果で決まるという冷酷な現実があります。極めて不愉快ですが、これが国際社会の現実です。日本もそういう世界で生きているわけです。

韓国の人々には、この冷酷な国際社会の現実を見極め、あちこちのプロパガンダに振り回されることなく、現実的かつ理論的な判断を期待したいと思うのです。