2017年9月21日木曜日

ヘリマネしなきゃおカネは増えない

世の中のおカネが増えないから景気は良くならないし、賃金は上がらないし、労働環境は良くならない。しかしバブル崩壊以降、日銀がいくら金融緩和しても世の中のおカネはほとんど増えない状態になっているのです。

日銀が供給するおカネはマネタリーベース(日銀券および日銀当座預金)MBですが、これは市中銀行のいわば帳簿にあるおカネであって、このおカネは世の中に出回るわけではありません。実際に世の中の人々や企業の所有する、手元や預金通帳のおカネはマネーストックMSです。このマネーストックは市中銀行から誰か(家計、企業、政府)におカネが貸し出された時に増えます。なので、誰かが市中銀行からおカネを借りなければ世の中のおカネは1円も増えません。

では、世の中のおカネであるマネーストックMSの推移はどうなのか、日銀の供給するマネタリーベースMBの推移と並べてみましょう。対前年の伸び率でみます。



図から読めることは、1990年代のバブル崩壊後に日銀が金融ハードランディングを実施するまでは、マネタリーベースとマネーストックは比較的に同じ傾向にあり、マネタリーベースの増減にあわせてマネーストックも増減しているように見えます。ところが、ハードランディングの後、日銀がいくらカネを刷ってマネタリーベースを拡大しても、世の中のマネーストックの伸び率は鈍いままです。

とりわけ、アベ政権以後に日銀がマネタリーベースを急拡大したにも関わらず、マネーストックの反応はほとんど微々たるものです。つまり、市中銀行からおカネを借りる人が居ないのです。貸し出しが伸びなければ、世の中のおカネは増えません。

世の中のおカネが増えないのですから、賃金が増えるはずないですし、消費も増えない。となれば物価なんか上がるわけがない。

ですから、企業や家計が銀行からカネを借りるのをひたすら待つのではなく、日銀の発行したおカネを直接に世の中の投入すれば、世の中のおカネは確実に増えます。それがヘリコプターマネーです。また、こうした状況であれば、日銀がいくらおカネを発行しても意味がなく、ヘリコプターマネーでなければダメであることがおわかりいただけると思います。

もし参議院選挙で、与野党がまともな経済論争をするなら、このヘリコプターマネーの話題こそ重要であり、争点に据えるべきテーマであると思うのです。