2019年6月12日水曜日

MMTは「不都合な真実」だ

MMTは、最近になって米国で注目され始めたことから、日本でも議論が盛んになり、政府・マスコミが火消しに追われている状況だ。なぜなら「MMTは不都合な真実」だからである。

MMT(現代貨幣理論)と言えば、マスコミはすぐに「カネを無限に発行できる」「借金はいくらあっても問題ない」という極論を取り上げて、これがMMTだという。しかし、そんな極端な話ではなく、MMT(現代貨幣理論)の基本は、現代のおカネの仕組みを正しく理解することに大きな意味があり、その説明は、会計の基本原則である、「バランスシート」によって、まったくもって、正しいことが明白だ。

つまり、「現代の貨幣は、すべて銀行からの借金によって作られる」
という、「不都合な真実」である。

これは、これまで政府やマスコミが説明してきたしくみとは、まったく異なっている。例えば、財務省の説明に「国債は国民の貯蓄によって買い支えられているので、国債が増えると買い支えられなくなる」というものがある。しかし、実際には、国民の貯蓄によって国債が買い支えられているのではなく、「国債を発行することで、国民の貯蓄が成り立っている」のである。これは、バランスシートの動きからみて明らかであり、しかも最近の国会でも「日銀がこれを認めている」のである。

なぜなら、「現代の貨幣はすべて銀行からの借金によって作られる」からである(硬貨を除く)。

これは、財政再建と称して、消費増税を企む財務省と、そのとりまき政治家にとっては、非常に「不都合な真実」であり、この火消しにやっきになるのは、当然であろう。なぜなら、財務省が嘘つきであることが明らかになり、同時に、財政再建の理屈がひとつが、失われるからである。

さらに、貨幣の正しい理解に基づけば、デフレ(あるいは低インフレ)の状況において、財政再建、すなわち国債の発行残高を減らすことは、デフレを悪化させることに直結することが理解されるからだ。

つまり、現代の貨幣はすべて借金から作られているのだから、もし、政府の借金を減らせば、その分だけ、世の中のおカネが消えて無くなることを意味する。安倍首相も「デフレは貨幣現象である」と発言していたはずであり、つまり、財政再建がデフレを悪化させるものであることは、百も承知のはずである。

つまり、本年10月に予定されている消費税の増税は、デフレ脱却に向けて、まさに「逆噴射全開」となる。MMTによって、おカネの正しい仕組みが理解されるなら、本年10月の消費増税を延期することは、あまりに当然の結論になる。これは財務省にとって「まことに不都合な真実」に他ならない。

MMTは、政府、与党、増税議員、御用学者にとって「不都合な真実」であり、これを、やっきになって火消ししているのが、現状なのである。