2019年1月28日月曜日

ほとんどの人は、国の借金を普通の借金と勘違い

国の借金を返さなきゃならない、とマスコミが大騒ぎしています。しかし、皆さんご存知ないですが、借金には仕組みが2種類あるんです。それ知らないとまずいですよ。

バランスシートという、企業では当たり前に使われる財務帳票がありますが、その仕組みから言えば、借金、つまりおカネの貸し借りには2種類あるんです。それは、簡単に言えば、

①普通の借金
友達が10万円を保有しています。その10万円をあなたが借りて、後日、10万円を返します。返したおカネは友達の所有に戻る。これが世間一般の考える「借金」、貸し借りの関係です。

②銀行からの借金
銀行が保有している10万円を貸すのではなく、銀行が信用創造で預金10万円を無から新たに作り出します。その10万円の預金をあなたが借ります。後日、返したおカネは銀行の所有に戻るのではなく、消滅します。これは、世間一般の人は知らない仕組みですが、これも貸し借りです。

ほとんどの日本人は、国の借金を①普通の借金、だと考えています。普通の借金の場合、もともと、おカネは友達の所有物なので、友達から借りたおカネは返さなきゃならない。返してもらわないと友達は困ります。あたりまえですね。なので、国の借金も返さなきゃならない、と考えるのは当然でしょう。マスコミも財務省も、そういうスタンスで騒いでいます。

しかし、国の借金は②なんですね。もともと、誰も所有していないおカネを銀行が勝手に作り出して、借り手に貸します。借金が返済されると、返済されたおカネは消えます。もともと、銀行は誰かから集めたおカネ、誰かのおカネを貸すわけじゃないのです。だから、無理矢理に返す必要はない。ただし、銀行としては「利息」が欲しいわけです。だから、利息を払えば、誰も困らないのです。誰か困りますか?

ところが、ほとんどの日本人は、国の借金は、友達からおカネを借りた借金と同じだと思っています。なぜなら、マスコミから政治家から官僚まで、①と②の違いを「報道しない自由」しているからです。①と②の違いを聞いたこと無いでしょw?おそらく意図的なんです。だから多くの人が「国の借金を返さないと困る人が出てくる」と勘違いしています。

さらに言えば、国債とは自由に売買できる債券なので、ますますもって、友達から借りた借金とは違いますね。なのに、口を開けば「国のシャッキンガー」とマスコミが騒いでいます。国民を勘違いさせるためです。

この国債を日銀が銀行から買い取れば(=量的緩和)どうなるか?国(政府)は日銀に借金していることになります。つまり、政府は日銀におカネを返すことになります。日銀も銀行です。ですから、やはり②銀行からの借金に該当します。となると、日銀に政府がおカネを返すと、おカネが消えます。

しかし、世の中からおカネを消したところで何の得になるのでしょうか。例えばインフレがひどい状況であれば、世の中のおカネの量を減らすことは意味があります。しかし、今は2%のインフレ目標すら達成できないほど、デフレあるいはディスインフレの状態です。世の中のおカネを減らす意味はないですね。

そして、日銀は銀行ですから、国債の利息が欲しいわけです。ですから、政府が日銀に利息を払いさえすれば、無理矢理に返済する必要は無いわけです。利息を払えば誰も困りません。では、政府の支払う利息はどこから調達するのか?これは税金になりますね。それじゃ、私たちが払う税金が増えるのか(増税)

そもそも、日銀は政府の機関です。政府の機関は税金で運営されます。財務省も経済産業省も、税金で運営されます。一方、もし、政府の払う利息で日銀が運営されるとしても、その利息の出所は税金ですから、本質的には日銀も税金で運営されていることになります。つまり同じです。

そしてもし、日銀を運営する経費を超えて政府が日銀に利息を払うなら、それは日銀の儲けになります。日銀の儲けは、国庫に納付する義務がありますので、運営経費を上回る分は、すべて政府に戻ってきます。したがって、日銀の運営経費を上回って、税金が増える心配はありません。

さて、話が少しだけ難しいかも知れません。もし、よくわからなかったとしても、これだけは覚えて欲しいですね。①友達からおカネを借りる、いわゆる「借金」と、②銀行からおカネを借りる借金は、本質的に違うという点です。国の借金は、①ではなく、②なのです。


国の借金を、普通の借金と同じだと勘違いしてはいけません。