2017年4月17日月曜日

年金の負担増は課税システムに原因あり

少子高齢化と言えば、新聞マスコミや与野党を問わず多数の政治家も「高齢者を支える労働人口が減少し、年金支給のための負担増はやむを得ない」と主張します。しかしいくら家計への課税を強化しても年金問題はまったく解決しないでしょう。彼らはまるでピントがずれているからです。

その理由は少し客観的に考えれば誰でもわかることです。つまり、将来的には次のような状況が生じると考えられます。

①人工知能や自動生産機械によって、財の生産性は拡大し続ける
②労働人口の減少率よりも機械化による生産性の増加率が高ければ生産量は拡大する
③一方、労働人口が減少すれば家計から得られる税収は減少する
④結果、人々の必要とする財は十分にあるが、財を分配するためのカネが不足する

つまり、生産能力も財も人々の需要を満たすだけ十分にあるが、分配のためのおカネが無いという問題になります。これまでの常識ではこのおカネは家計への課税に依存してきました。しかし労働人口が減少すれば税収が減少するのは当然であり、財は十分あるのにおカネが回らないという問題が不可避的に発生します。これは通貨循環におけるシステム上の欠陥です。

では、通貨循環においてどこにおカネが停滞するか?企業サイドに停滞します。なぜなら人工知能や自動生産機械によって、企業から家計へ支払われる賃金総額が減少し続けるからです。それは、生産年齢人口の減少(労働者の減少)によって企業の支払い総賃金が減ることと同じ意味です。

機械化に伴って企業に停滞するおカネを回収して循環させる必要がシステム上必ず必要になります。それにより国内における財の生産と分配(消費)の通貨循環量(GDP)が維持され、家計への負担を増やすことなく年金制度は維持できると考えられるのです。

すなわち、家計への増税ではなく、通貨の発行と企業への課税強化によって財源を確保しなければなりません。

ところが、新聞マスコミや政治家の大好きな「拝金主義的グローバリズム」の思想だとそうならない危険性があります。企業に停滞するおカネを回収して国民への財の分配へ回すのではなく、企業への課税を逆に軽減してこのカネを海外への投資へ回し、企業利益の拡大=株主利益の拡大を図ると思います。

ですから、彼らは国民への課税を強化して再分配しようと言い出すでしょう。国内の通貨循環(内需)を犠牲にしても海外への投資や輸出を拡大して企業利益を出そうとするはずです。拝金主義グローバリズムに騙されないよう気をつけてください。

テクノロジーの進化に伴う生産の自動化によって、必然的に家計に支払われる総賃金は減少しますので、年金の財源を家計への課税に依存する税制では年金制度は必ず破綻します。

年金の負担増は、
少子高齢化とは無関係に、課税システムに原因があるのです。