2017年4月26日水曜日

マクロン氏当選で仏は失われた20年へ

フランスでは、EU離脱を目指すルペン氏を落選させるべくすべての政党がマクロン氏の支持に回ったようです。しかし緊縮・構造改革主義者のマクロン氏が当選すれば、フランスは「欧州版失われた20年」に突入する危険性が高いと思います。

EUは緊縮・財政均衡主義の傾向が強く、それを加盟国に強制に近いかたちで要求しています。ですからEUを重視するマクロン氏が緊縮なのは当然でしょう。財政出動による有効需要の拡大などまったく考えていないようです。尤も、EUに加盟する限り、フランスは独自の財政・金融政策の余地など無いに等しいのですから当然です。

マクロン氏の政策によれば5年で500億ユーロの投資を行うといいます。しかしそのかわり5年で12万人の公務員を削減し、5年で600億ユーロの歳出を減らすと主張しています。差し引き、経済に投入される通貨はなんと100億ユーロも減るわけです。しかも、5年後には投資は終了して、歳出削減だけが残るわけです。

では、フランス経済の建て直しをどうするのか?構造改革・自由貿易・移民推進により、市場原理をさらに強化することで経済を成長させるという。そもそもバリバリの資本家エリートコースを辿って来たマクロン氏が労働者に甘いわけが無い。市場原理でしばきあげる気が満々ですねw。

構造改革や自由貿易をいくら推進しても、カネを増やさなければ経済は慢性デフレになる。それは日本の失われた20年をみれば誰でもわかるはずです。日本の失策に学ばないフランスは「欧州版失われた20年」に突入するでしょう。「新自由主義+緊縮主義」の政策ミックスは、長期デフレのセオリーだと思います。

ところが、資本主義の代表者であるマクロン氏をなんと、労働者の代表者であるはずの左派・オランド社会党が後押しするというから、開いた口が塞がりませんw。

こ、これはどこかで見たようなボケっぷり・・・そう、デフレ脱却などお構いなしに消費税増税を推進する日本の左派、民進党のボケ具合を彷彿とさせます。今のご時勢、労働者の味方であるはずの左派政党は世界中でどうなっているのか?見るも無残な左派の体たらくは日本だけでなく、フランスでも起きているのですね。いや、アメリカの民主党も地に落ちた。どの国も左派がまるでダメになってしまいました。

今のフランスの政治はグローバル資本主義一辺倒で、労働者に希望を提示できる政党がありません。そして人々の間に渦巻く反EU感情を押さえ込むために、EU離脱を主張する政党に「極右」のレッテルを貼って、人々の不安を煽り、EU崩壊を旧来勢力の右派左派が必死に防いでいるような有様です。

しかしマクロン氏が大統領に当選したところで、「新自由主義+緊縮主義」の政策ミックスを続ける限り、フランスは日本と同じ失われた20年の道をたどることになるでしょう。そのとき、さらに過激で反動的な政治運動が起きないことを「神の手」に祈りましょう。