2016年11月10日木曜日

「大統領選が分断を招いた」は本末転倒

マスコミ御用学者のおきまりのセリフが「大統領選挙によって国民が分断された」というストーリー。これは英国のEU離脱を問う国民投票のときも同じだった。「選挙が分断を引き起こす」というのだが、これは原因と結果が転倒している。現実には、「すでに分断していた社会が選挙で表面化した」に過ぎない。

「選挙が分断を引き起こす」というセリフは、あたかも、選挙での勝利者が分断を引きこしたかに見せかける、実に巧妙な印象操作と言えるでしょう。意図的に原因と結果を逆にしたストーリーを作る。マスコミの常套手段ですね。

大統領選挙以前から、すでに既存政治家の政治によってアメリカ社会は格差が拡大し、様々な問題が蓄積し、社会の実情は分断されていた。だからウォール街を占拠せよなどの運動も起こるほどでした。しかし、選挙がなかったから、「一見すると分断が無いように見える」だけに過ぎなかったと考えるのが自然です。

アメリカは選挙前からすでに分断していた。

ここにこそ、問題の本質があるのです。表面的に分断が見えないからといって、選挙前は分断がなかった、とのマスコミ御用学者のポジションは、あきらかに偽善です。もしアメリカ社会に分断が無かったとしたら?国民の大多数がある程度満足できる政治が行われていたなら、たかが選挙で社会が分断することなどあり得ない。大統領選挙によって、分断した社会の実態が明らかになったに過ぎないのです。

マスコミの大好きな、「勝ち組と負け組」の社会。

トランプ大統領は、ここから生まれてきたはずです。もしアメリカ社会が分断されていなければ、トランプ大統領は誕生していたでしょうか。おそらく相手にされていなかったでしょう。

民主主義の危機も、ポピュリズムも、大衆主義も、すべて分断された社会から生まれてくる。その分断を生んだのは、既存の政治であって、それ以外の何者でもない。

マスコミ御用学者がしきりに好んで使う「選挙が社会の分断を招いた」という、おそろしく安易な、偽善な、あるいは意図的な誤解を招くセリフ。マスコミには、本当に苦笑せざるを得ないと思うのです。