2012年1月8日日曜日

消費税増税の代案「NEED法」

新聞が代案を示せと挑発するので、代案の一つをご紹介します。これはアメリカで昨年9月21日にアメリカ議会に提出された法案であります。端的に言えば通貨制度改革であり、財政収支問題そのものを永久に解決する方法です。

(以下ネット上の記事より抜粋。)

米NEED 法案 貨幣改革 再生への希望に

金融システム崩壊から米国を再生させる法案が9 月21 日にデニス・クシニッチ下院議員によって議会に提出された。NEED法(国家非常事態雇用防衛法、HR 2990)と呼ばれるこの法案の骨子は3 点である。

① 民間会社である連邦準備制度理事会(FRB)−米中央銀行−を財務省に統合し、政府のみ貨幣を発行する。
② 無からお金を作り出す民間銀行の信用創造を禁止し、100%政府貨幣とする。
③ 経済成長に必要な貨幣は、政府が常時流通に投入する。

金融・債務危機の根本原因はすべて誰がマネーを支配するかに帰着する。わが国のマネーストック(M1=現金通貨と預金通貨の合計)を例に取ると、実質「株式会社」である日銀が日銀券を約16%発行し、民間銀行が約83%の預金通貨(コンピュータ上の数字)を無から信用創造している。すなわち99%もの貨幣は、民間が利付き債務貨幣として発行している。

もしこの法案が通過すれば、貨幣は100%公共貨幣となる。その結果、米政府は債務を政府貨幣で徐々に完済でき、8 月2 日のような14.3 兆ドルの債務上限デフォルトの悪夢から解放される。サブプライムローンに端を発する銀行の暴走、金融危機を食い止めることができる。さらにインフラ、教育、医療、福祉、環境ビジネス等に必要なお金は政府が直接投入し、雇用の創出、内需拡大ができる。

この法案は、1929年の世界大恐慌の直後、その教訓をもとにシカゴ大学の経済学者らが呼びかけた貨幣改革提案「シカゴプラン」に依拠している。全米157 大学275 名(86%)の経済学者が当時この提案に賛成の署名をしたが、実現されなかった。今回も金融ウオール街は、ロビイストを用いて法案阻止の圧力を議員にかけてくると予想される。

私はこの夏、会計システムダイナミックスという新しい方法で開発したマクロ経済モデル(方程式約900 本)を用いて、NEED法の妥当性をシミュレーション分析で検証。増税なしでも国の借金は完済でき、不況、失業、インフレ、世界同時不況も引き起こさないという驚きの結果をえた。

— 京都新聞 2011年12月2日(金曜日)—
山口薫
同志社大学大学院ビジネス研究科教授