新聞マスコミは経済を「なんとか派」に分類するのが大好きですか、自分はどうもしっくりこない。でもあえて言えば、ベーシックインカム推進はケインズ派そのものです。財政支出で有効需要を創出するのですから。
いわゆる「ケインズ派、リフレ派」なる世間一般の認識は自分の認識とはだいぶ違います。まず、ケインズ派ですが、世間ではケインズ派と言えばひたすら公共事業推進という認識です。これまでがそうだったからでしょう。しかし考えてみれば、ケインズの本質は「財政支出による有効需要の創出」なのであり、それを公共事業に限定する必要があるとは思えません。ベーシックインカムも含まれるはずです。ケインズ派は「政府の財政支出によって有効需要を増やし」、世の中のおカネを回すことが本質だからです。
一方でリフレ派は基本的に金利です。金利操作によって民間の設備投資を誘導しようとする方法論になります。「金利を操作して民間投資・消費による有効需要を増やし」、世の中のおカネを回すことが本質です。リフレ派におけるインフレ予想もあくまで金利(実質金利)のマイナス誘導が目的です。ここにはベーシックインカムの考え方は微塵もありません。
ですから、ベーシックインカムはあくまでもケインズの有効需要に基づく方法論であり、ベーシックインカム推進はケインズ派の考えに極めて近いのです。ケインズ派の皆様は、ぜひベーシックインカムを積極的に推進して欲しいですね。国民におカネを配っても貯蓄されるだけ?いえいえ、それは人々の貯蓄が少ないからです。好きなだけ貯蓄させてやったら、そのうち使うようになりますよ。それで何か問題あるとは思えません。
もちろんベーシックインカムをやったからと言って、公共工事をやめてしまう必要はないわけです。ただし公共工事は景気の変動に合わせて増やしたり減らしたりするのではなく、必要に応じてしっかりベースアップして、その額を長期安定的に継続する必要があります。企業経営においては「長期安定」が設備投資の判断にとって重要だからです。短期変動では困るのです。
ところで、リフレ派に対する世間的な認識もかなりおかしいです。世間的にリフレ派は世の中のおカネを増やすという認識です。しかし日銀が市中銀行から国債を買っても現金(マネタリーベース)が増えるだけで、世の中のおカネ(マネーストック)は1円も増えません。企業や個人が銀行から借金をしなければ世の中のおカネは増えないわけですが、あたかも日銀が世の中のおカネを増やしていると思われているのです。ネット上の日経新聞のイラストがまさにそれでしたね。ハイパーインフレがー。企業がカネを借りないのに、どうやったらハイパーインフレになるのか摩訶不思議です。
こうしたおかしな認識は、新聞マスコミによって世間に広められ、人々の経済に関する判断力を狂わせていると思います。
ところで、「ケインズ派かリフレ派か」の二者択一である必要なんかありません。ケインズ派とリフレ派の「良いとこ取り」が最もいいです。それがヘリコプターマネーです。財政出動で有効需要を増やし、同時に世の中のおカネ(マネーストック)も増加するからインフレ予想も立つ。公共工事もできる。まさにケインズ派とリフレ派の両方にとって満足できる政策ですよね。