2018年11月30日金曜日

消費増税するなら万博やめろ

財政が逼迫しているとして消費税を増税する一方、税金を万博やオリンピックに使うという。増税するほど無駄遣いできないなら、万博もオリンピックもやめるべきだ。しかし実際には、財政が厳しいというのは財務省のフェイクである。消費増税を中止した上で、万博もオリンピックもすべきだ。

すでに、本ブロクでは、財政赤字の問題など「ない」と何度も言ってきた。膨大な発行済み国債はすべて日銀が買い取ればいいだけだし、実際、すでに4割ほどは日銀が買い取っている。また、今後の財政支出についても、政府(日銀)が通貨を発行して財政支出を行なえばよく、その程度では過度なインフレが生じないことは過去の状況から明白だ。プライマリーバランスは無意味な呪縛にすぎない。

にもかかわらず、消費税の増税を強行しようとしている。そして、「カネがない」といって国民から税金を搾り取ったうえに、あろうことか、税金を万博とオリンピックという、お祭り騒ぎに使おうという話である。

もちろん、お祭り騒ぎがダメだという話ではない。万博もオリンピックも結構である。しかしながら、かたや増税して国民からカネを毟り取っておきながら、そのカネをお祭り騒ぎに使うなど、まったく国民を馬鹿にしている。消費税は社会保障に使う、などといっても、結局のところ、同じ財布から出て行くカネである。

おそらく、消費税の増税によって国民の消費が落ち込むことが予想されるので、経済界としては、それをカバーするだけの売り上げが欲しいというわけだ。なんのことはない、経済界は消費増税を大人しく受け入れ、国民に負担を押し付けて、オリンピックと万博で手を打とうというのである。

しかし、こんなカンフル剤のようなオリンピックと万博を打ったところで、薬が切れてしまえばそれまでである。残るのは、消費増税後の「カネのない消費者」だけだ。またしても内需拡大を放棄し、アメリカや中国頼みの経済になり、為替相場や関税に振り回される情けない状況のまま。いつまでこんなことを続けるのか。

しかも、オリンピックと万博でどれほど消費が増えるか疑問もある。増税と緊縮財政で国民にはカネがないのだから、仮にオリンピックと万博におカネを使ったとしても、代わりに、他の消費を減らす恐れがあるのではないか。結局のところ、消費増税はオリンピックと万博の経済効果を台無しにする危険性もある。

消費税を増税して、オリンピックと万博をやるのは筋違いだ。
消費増税を中止して、オリンピックと万博をすべし。
それが最も経済効果が高いことは間違いないし、
「国民のお祭り」ならば、それが当然だと思う。


2018年11月26日月曜日

国債は後世への負担押し付けにならず

財政審議会は、国債発行残高を「将来世代への負担押し付け」としているが、これは大きな間違いである。国債は通貨を発行して国が買い戻せばよいだけだからだ。

実際、国が通貨(現金)を発行して国債を買い戻しているのが、日銀の行なっている量的緩和政策である。もちろん、その本来の目的は金融政策であるが、事実上、国が国債を買い戻していることに違いはない。

そもそも、政府が国債を発行する必要など、本来はまったくない。なぜなら、政府(国家)には、通貨を発行する権限があるからだ。円は国家の通貨だからである。にもかかわらず、通貨を発行せずに赤字国債を発行するから、その返済のために大騒ぎになるのであり、しかも、ムダに金利まで支払い、国民に負担を負わせているのである。最初から国債を発行せず、通貨を発行していれば、何の問題もなかったのだ。この点が、根本的に間違っている。

しかも、通貨を発行しようが、国債を発行しようが、世の中のおカネは同じ額だけ増加する。これはバランスシートの仕組みから明白である(どちらも同じ額だけマネーストックを増加する)。つまり、通貨を発行しようが、国債を発行しようが、インフレを引き起こす点では同じなのだ。であれば、何も、わざわざ問題を生じるような国債を発行する必要は最初からないのである。

であるから、過去に発行した国債の発行は「まちがいだった」として、政府が買い戻せばよいのである。そして、それは今日、日銀が量的緩和政策として、過去に発行した国債を買い入れている行為と、まったく同じなのだ。

では、通貨を発行するとハイパーインフレになるかと言えば、全然そんな気配はない。すでに300兆円以上の現金を日銀が発行して国債を買い戻しているにも関わらず、である。なぜなら、すでに世の中のおカネマネーストック)は国債発行時に増加しているのであり、いまさら日銀が通貨を発行しても、世の中のおカネマネーストック)はまったく増えないのだ。これもバランスシートの仕組みから明白である。

すなわち、これは、最初から国債など発行する必要などなかったことを示唆しているのであり、日銀が現金を発行して財政運営を行なってもよかったことを証明しているようなものだ。この程度であれば、現金を発行して財政政策を行なっても、インフレにはならないのだ。裏を返せば、それほどデフレ圧力が強いとも言える。

話を元に戻すと、以上から、国債発行残高は将来世代への負担押し付けには「まったくならない」。日銀が通貨を発行して国債を買い戻せばよいだけだからだ。そして、それによってハイパーインフレが起こる心配はまったくない。国債を買い取っても、マネーストックは増えないからだ。

しかも、発行済み国債の半分近くを、日銀すなわち政府(国家)がすでに保有しているのであり、また、まだ市中にある国債については、償還時点で通貨を発行して買い戻せば良いだけである。

将来への負担はまったくない。
あるのは、「財政審議会の無知」だけだ。


2018年11月21日水曜日

ベーシックインカム第1回動画UPしました


Youtubeをはじめました。これはベーシックインカムについての、やさしい解説シリーズです。第1回目は、ベーシックインカムが、今、注目されている理由です。導入部分になります。制作には早くて3週間はかかるので、次回作は気長に待って欲しいです。
https://youtu.be/Z1FNl55NQYk

2018年11月19日月曜日

ちゃんちゃらオカシイ財政審議会

今日の増税新聞・読売の記事によると、財務省の財政審議会が平成の財政を「ツケを先送りした時代」だと総括したという。本気で笑わせる。こんな稚拙な経済観しか持たない連中に日本を任せていられない。

財政制度等審議会(財務省)が20日に提言する内容が新聞に報じられた。それによれば、平成の財政を「負担先送り圧力に抗えなかった時代」であると総括し、より一層の緊縮財政に向けて圧力をかける内容らしい。マクロ経済を無視し、カネの収支しかアタマにない連中には呆れるほかない。

平成時代は、ツケを先送りしたどころか、むしろ財務省の主導により「デフレ脱却と景気回復を次の時代に先送り」した、極めて遺憾な時代であったと総括するのが、実情からいって正しいだろう。日本の供給力を十分に活用せず、意図的に日本の経済成長を妨げた時代だったといってよい。財務省による緊縮暗黒の30年だった。

なぜか?小学生でもわかる。

平成は「デフレ時代」だったからだ。デフレとは、供給過剰、つまり、モノが余るほどあることを意味する。と同時に、貧富の格差が拡大し、例えば子供の6人に1人は貧困である、という、驚くべき状況まで生じてきた。つまり、生活に必要な物資は十分に供給できるにもかかわらず、生活に必要な物資が手に入らない家庭があることを意味する。これは、経済すなわち、生産と分配の機能が十分に働いていないことを意味する。

供給力が十分にある社会において、貧困や格差の問題を解決する事は極めて簡単である。単に、貧困、低所得の家計におカネを配れば良いだけだからだ。これが途上国のように、供給力そのものが不足している国ならそうはいかない。いくらおカネを配っても、モノがないのだから始まらない。日本の場合は、モノは十分にあるのであって、足りないのは、単にカネだけである。

ゆえに、カネを発行して配れば、それだけで貧困や格差の問題は解決してしまうのである。こんな、小学生でも理解できる簡単な理屈が、大学を卒業した連中がわんさと集まると、とたんに理解できなくなるというのだから恐ろしいw。

なぜ理解できないのか?
政府の財政は、すべて一円残らず税金で集めるべきという、
「プライマリーバランス脳症」だからだ。

財務省が一種の、精神病的な状態にあるため、国民は、する必要のない苦労に苛まれる事になった。これが「平成の財政に関する総括」である。

もし、デフレを解消するために十分なだけの通貨を発行して、貧困や格差の解消、あるいは社会保障、あるいは防災やインフラ整備として財政支出を行なっていれば、「デフレ脱却と景気回復」を、次の世代に先送りするような、ブザマなことにはならなかった。そして、将来の世代に、明るい日本社会を引き継ぐことができたはずなのである。

平成は、財務省による緊縮財政・暗黒の30年だった。次の時代では、ちゃんちゃらオカシイ財務省を国政から追放しなければならない。そして、国民の主権に基づく、政治主導の拡張型財政に移行する必要があるのです。そして、平成の時代に失われた「日本の豊かさ」を取り戻さなければならないのです。


2018年11月13日火曜日

金融政策が難解である理由

大多数の国民は、今日、マスコミに出てくる金融の話(マネタリーベースとマネーストック、量的緩和、予想インフレ率、マイナス金利など)をほぼ理解していません。なぜならそれが「難解」だからです。そして、その難しさの原因は現在の金融制度そのものにあります。

現在の金融制度は、信用創造によって世の中におカネを供給する準備預金制度です。しかも、中央銀行と市中銀行という、二重のシステムから成るため、非常に複雑です。

それに対して、江戸時代やローマ時代のように、時の政府が通貨を発行する方法は非常にシンプルです。これが政府通貨制度です。政府通貨制度とは、政府が通貨を発行し、それをお城の建設や兵士の給料などに支出することで、世の中に流れ出し、それらのおカネが経済活動に使われるものです。ですから、世の中のおカネの量は、政府が発行した通貨の量によって決まります。

しかし、普通の国民は現在の制度でも、日本銀行が発行した通貨(現金)の量によって、世の中の通貨の量が決まるのだと思い込んでるでしょう。それが、一般人の感覚です。

ところが、現在の通貨制度は一般人の感覚とは、およそかけ離れた形でおカネが供給されています。つまり、日銀が発行した通貨(現金)の量よりも、多くのおカネが世の中に流通しているのです。なぜなら、市中銀行が、日本銀行の発行する通貨をはるかに上回る量の通貨(預金)を発行しているからです。

そのことは、取りも直さず、日銀がおカネの供給量を正確にコントロールできないことを意味します。

つまり、日銀が通貨(現金)を増やしても、世の中のおカネの量(マネーストック)が増えるとは限らず、逆に、日銀が通貨の量を増やさなくても、世の中のおカネが勝手に増え続けることが起こりえるのです。

これは、恐らく、一般人の感覚とかけ離れているはずです。日銀の通貨(現金)の発行量によって、世の中のおカネの量が一意に決まるわけではないのです。これこそが、一般国民にとって、現在の金融政策の理解を困難にしている原因です。

準備金制度の場合、世の中のおカネの供給量は、日銀が発行した通貨の量によって決まるわけではない。では何で決まるのか?市中銀行が家計や企業などに貸し出すおカネ(預金)の量によって決まります。その貸出量は金利によってコントロールされます。ゆえに、世の中のおカネの供給量は、日銀の発行する通貨(現金)の量で決まるのではなく、金利で決まるのです。

そのため、世の中のおカネの量をコントロールする目的で、量的緩和やらマイナス金利やら、実質金利やらイールドカーブやら、複雑な話がわんさと出てきます。これが、ますます金融政策を難解にします。

その原因は、すべて「金利を操作して間接的に世の中のおカネの量をコントロールする」ためです。しかしこれでうまく世の中のおカネの量がコントロールできるはずがなく、量的緩和をやって日銀がおカネを発行しても世の中のおカネが増えず、インフレ目標に届かなかったりします。

一方、政府通貨制度であれば、金利を操作する必要はありません。政府(あるいは日銀)がおカネを発行して、それを国民に配ったり、公共投資として利用すれば、そのまま世の中におカネが流れ出して「おカネが直接的に」増えます。ですから確実にインフレ目標を達成できます。何より、「政府がおカネを発行すれば、世の中のおカネがその分だけ増える」というあたりまえの現象が起きるわけです。

準備預金制度の場合は、いくら日銀が通貨を発行しても、世の中のおカネが増えないという「意味不明」の現象が生じますし、逆に、日銀がおカネを1円も発行せずとも、世の中のおカネがどんどん増加してインフレになるという「意味不明」の現象も生じます。

さて国民の皆様にはぜひ考えて欲しいのです。ちょっと聞いてもわからないような、金融政策に関する難解な用語を多用する通貨制度のままで良いのか、それとも、誰でも理解できる、シンプルな通貨システムに改めて、誰でも理解できる金融政策が行なわれる方が良いのか?

そして、ほとんどの有権者が理解できない難解な金融システムと、すべての有権者が容易に理解できる金融システムと、そのどちらの方がより民主主義に相応しいのか?


2018年11月9日金曜日

賃金UPのチャンスも、移民で台無しに

資本主義社会において、賃金は市場原理で決まります。ですから、まさに昨今の人手不足は、待ちに待った賃金UPのチャンス到来であり、経済の好循環のスタートになるはずですが、移民政策がこのチャンスを台無しにします。

これまでの20年以上に及ぶ長きデフレの期間において、人手はずっと余剰であったため、平均的な労働者の賃金は20年以上に渡って下がり続けてきました。労働力が商品である以上、労働力が余れば値下がりは当然です。

しかしついに、人手不足時代の到来です。賃金が上昇するチャンスが巡ってきたのです。人手不足こそ、労働者にとって待ちに待ったシーズンです。なぜなら、マクロ経済から言えば、いくら一生懸命に働こうと、短時間ですごい量の仕事をこなそうと、そんなことで賃金は決して上昇しません。「人手が不足すること」こそが賃金上昇の条件なのです。

実際、バブル景気の日本では、人手不足が問題だと大騒ぎされ、どの企業もやっきになって人を採用しました。そのため、賃金がぐんぐん上昇し、とりわけアルバイトのような非正規雇用の賃金も高くなり、フリーアルバイターが豊かで自由な生活を謳歌していました。ワーキングプアなど、考えられない時代です。

さすがにそこまで回復するのは大変ですが、そのように、労働者が大切にされる時代が再び到来しようとしています。そして労働者の賃金が上昇すれば、消費者の購買力も上昇し、消費が増えて景気が回復し、企業の利益が増加して、再投資が増え、生産が増え、さらに景気を押し上げるという「賃上げによる景気の好循環」がスタートするのです。

ところが、移民政策はこれを台無しにします。今、安倍政権は「人手不足の解消」をやろうとしています。人手不足が解消すると、労働市場では賃金が上昇しなくなります。せっかく巡ってきた賃上げの時代を潰そうというのです。これでは、安倍政権が主張する「賃金の上昇による景気の好循環」は望めません。企業は賃金を上げる必要がなく、外国人労働者を採用すれば良いからです。

そこまでして、労働者に賃金を払いたくないのか?

恐ろしいほどのデフレマインドです。消費者が少しでも高い商品を買うことを避け、安い中国製品をこぞって買い求めることとおなじく、企業も少しでも高い日本の労働者を買うことを避け、安い外国人労働者を買おうとしているわけです。移民依存は企業のデフレマインドです。

企業が外国人労働者を求める理由は、
人手不足なのではなく「カネ不足」です。

賃上げするだけの、売り上げ高、原資が企業にないからです。カネがあるのは一握りの巨大企業だけです。もし、バブル経済の頃のように、多くの企業にカネがあれば、当時と同じように賃金を上げて人手を確保しようとするはずです。しかし、企業にカネがなければ、賃金を上げたくても、上げることは不可能なのです。

そこでヘリコプターマネーです。

ヘリコプターマネーによって、すべての国民に毎月おカネを給付すれば、国民の購買力が向上して消費が拡大し、企業の利益も増加します。企業がカネを持てば、賃金を上げる事が可能になります。まして人手不足なのですから、企業間の賃金UP競争がスタートします。

中小企業は大企業に人材を取り負けるから、やはり困るだろうと考える人もいるでしょう。しかし、中小企業の人材難は、バブルの当時も同じでした。だからといって、当時の中小企業がバタバタ倒産したなんて話は、まるで聞いたことがありません。そんなことより、その後、バブルが崩壊してデフレ不況になったため、中小企業はバタバタ倒産することになったわけです。バブルが崩壊したあとは、人手が余って、いくらでも人を採用できましたが、景気が悪くて利益が落ち込み、社員を採用するどころではなくなったのです。

企業は人手不足で倒産しない、デフレ不況で倒産する。

もし、人手不足で倒産するとすれば、まず真っ先にブラック企業が倒産するでしょう。ブラックな職場を嫌って、労働者がみんな逃げてしまうからです。何か問題でも?

市場がきちんと機能していれば、人々の生活にとってより必要性が高い企業の売り上げが増加し、必要性の低い企業の売り上げが減り、ゆえに、必要性の低い企業からは社員が逃げ出して倒産することになります。必要のない企業(ゾンビ企業)が倒産しても、何の問題もありません。

それどころか、必要性の低い企業が淘汰され、必要性の高い企業が増えますから、必要性の高い企業へ労働力が再配分され、日本の生産性が向上し、企業の競争力も高まります。

こうした労働力の再配分の動きは、カネを潤沢に供給し、インフレ傾向に誘導しなければ機能しないでしょう。おカネがどんどん回って、市場がきちんと機能しなければダメです。

ところが、インフレを極度に嫌っておカネの供給をケチり、代わり移民政策によって、安い労働力に頼るなら、労働力の再配分は行なわれず、ゆえに、生産性の向上が遅れることになるのです。これは、日本の企業の成長戦略とってもマイナスになるでしょう。

労働者の賃上げ、それによる経済の回復、投資の増加、税収増、企業の生産性の向上、すべてを台無しにする移民政策は断じて認められません。

2018年11月6日火曜日

外国人労働者の賃金は2割増しにすべし

新聞テレビが人手不足だと大騒ぎしています。そして安倍政権も人手不足を最大の口実として、移民政策を始めようとしています。ならば、外国人労働者の賃金は日本人の2割アップにすべきです。

外国人労働者には、同じ日本人の労働者よりも、2割増しの賃金を支払うこと。そう主張すると必ず「そんなことしたら意味がない」と言い出すに違いありませんね。はて、何の意味がないのでしょうか?もし人手不足で社員が来ないのであれば、2割増しの賃金だとしても、社員が確保できるから大歓迎のはずです。もし、2割増しにして意味がないというのなら、それは「外国人労働者を安い賃金で使いたい」という腹の中が見え透いているのです。

結局のところ、賃金を2割増しにすれば日本人の社員は来るけれど、それをやりたくない、何としても賃金を上げたくないから外国人労働者を使いたい、という企業の要請に応えるための政策なのです。

これでは、安倍首相の言う「賃金の上昇による、経済の好循環」など絵に描いた餅であると、政府自らが公言しているようなものです。こんな単純な矛盾にも気付かないのでしょうか。

現在、人手不足であるとされる分野、たとえば建築や農業等の分野において、社員が足りないのであれば、外国人労働者を利用して賃金を抑制するのではなく、高い賃金で社員を募集すべきです。そうすれば、労働者の賃金が上昇します。賃上げによる経済の好循環がスタートするのです。

おそらく「賃金を上げると、採算が取れなくなる」と言い出すでしょう。そんなものは、販売する商品を値上げすれば良いのです。すると、物価が上昇し、インフレターゲット2%目標に近づくわけです。日銀も喜ぶでしょうw。

すると今度は「値上げすると、売れなくなる」と言い出すでしょう。これこそ、日銀の言う「デフレマインド」じゃないですか。デフレマインドを払拭すべきと、日銀が言っているでしょうw。こういうデフレマインドが全産業に蔓延しているから、価格据え置きのまま商品のパッケージの内容量が微妙に減るという「シュリンクフレーション」なんて状況が生じるわけです。昨今の検査データ捏造事件も、コストを価格に転嫁できない慢性デフレが影響していないとは言い切れないでしょう。

値上げできないから、賃上げが出来ない。実に馬鹿げています。

こうした、馬鹿げた状況が生じる理由は「国民にカネがない」、これに尽きると思います。国民にカネかないから値上げできないのです。値上げすると、すぐに売り上げが減る。なぜなら、カネがないからです。もし、国民にカネがあるなら、値上げしても売り上げは減らない。だから、賃上げが可能になるのです。

まず、全国民に毎月1万円を給付すべし。

いま早急にすべきことは、移民政策の推進ではなく、国民の購買力を向上させることです。そして、賃上げと物価上昇を実現するための、経済の下地を整えることです。移民政策は、むしろ賃上げと物価上昇の経済に逆行する政策なのです。

それでも移民政策を行なうのであれば、外国人労働者の賃金は、同じ日本人の2割アップにすべきです。本当に人手が足りないのであれば、高い賃金でも、人手不足が解消するのだから、それで良いはずなのです。


2018年11月2日金曜日

金融緩和はニューノーマル(新常態)

時代と共に技術や社会は進化し、経済環境は変化してきました。その中で、現在の金融緩和の状態が生まれてきました。ところが、出口戦略とは、無理に昔の状態に引き戻そうとすることです。

出口戦略という逆行思想を捨てて、
ニューノーマル(新常態)を目指すべきです。

出口戦略とは何をすることなのか?簡単に言えば金融緩和と逆のことをするわけです。ですから、マネタリーベースすなわち「現金」を回収し、現金を抹消することです。現金とは普通の人がイメージしている紙幣や硬貨だけではありません。市中銀行の名義の日銀当座預金もそれに該当します。これら現金を抹消することが、いわゆる「正常化」と呼ばれます。

新聞マスコミや御用学者はもちろん、国民民主党のように、出口戦略に前向きな野党すらあります。しかし、なぜそこまでして現金を消そうとするのか?現金を消すことが、なぜ「正常化」と呼ばれて歓迎されるのか、実に不思議ですね。

ところで、日銀の発行した現金を消滅させるとどうなるか?世の中のおカネが減ると思うかもしれません。しかし、実際にはそれが即、世の中のおカネ(マネーストック)の減少に結びつくとは限りません。なぜなら、企業や家計が保有しているおカネのほとんどは、市中銀行の信用創造によって作り出された「預金」だからです。

ですから、仮に日銀の発行した現金がどんどん抹消されても、代わりに市中銀行がどんどん預金を発行すれば、世の中のおカネが減ることはないのです。

つまり、出口戦略とは何か?
日銀の発行するおカネ(現金)を減らして、
市中銀行の発行するおカネ(預金)を増やすことです。

そんなこと、うまくいくのか?
おそらく、不可能でしょう。

そもそも、日銀はどうやって現金を抹消するのでしょう。現金がどうやって発行されるかと言えば、それは、資産として「国債」を買い入れ、その代金として「現金」を発行します。ですから、この逆の操作が現金を抹消する行為になります。

といっても、日銀が国債を額面で売ったところで誰も買いません。相当な赤字覚悟で売るしかないわけで、そんなことはできません。そんなことをすれば、日銀が大損して、買い手が丸儲けしてしまいます。

しかし、日銀が保有する国債は、やがて償還期日を迎えます。この際、政府から日銀が現金を受け取りますから、この受け取った現金と国債を帳消しにすることで償還が完了します。では、政府が日銀に払う現金はどこからくるのか?国民の払った税金になります。つまり、

国民から税金で集めた現金を帳消しにして抹消する。
これが、金融正常化の正体です。

普通にそんなことをすればどうなるか?世の中のおカネが激減してしまうでしょう。しかも、税金を集めるために、さらなる増税もありえるでしょう。そうなれば、たちまち激しいデフレ不況に見舞われます。ですから、そんなことはできません。

もし現金を減らすなら、預金の増加と同時でなければなりません。すなわち、市中銀行が貸し付けの際に、新規に預金を発行する額と同じ額だけ、それにあわせて、現金を抹消しなければなりません。つまり、景気がどんどん良くなって、銀行から借金する企業や家計がどんどん増えるようになり、税収が増加すれば、現金を抹消することが可能になるでしょう。しかし、

抹消する現金の額は、およそ300兆円。

金融緩和によって日銀が発行した現金は300兆円を超えます。金融正常化とは、300兆円の現金を抹消する行為なのです。日本ではサラリーマンの賃金は低下しており、生活の苦しい人が多いですし、子供の貧困も社会問題化しています。そんな状況で、300兆円の現金を抹消するというのです。これが正常化の正体です。

だから景気が良くならないうちは出口戦略はできない、と日銀が考えるのは当然なのです。

ところが、そんなことおかまいなしに、新聞テレビは「外国は出口戦略を行なっている」「日本も乗り遅れるな」と血気盛んに主張しています。しまいには国民民主党のように、法律で強引に出口に向かわせろ、という始末です。

出口は必要はありません。
今の状態が「ニューノーマル(新常態)」なのです。

少し考えればわかりますが、300兆円以上も日銀が国債を買い入れて、ようやくこんな程度の景気回復なのです。それを強引に元に戻そうとすればどうなるか、火を見るより明らかでしょう。つまり、今日の金融緩和の状態こそが、これからのニューノーマル(新常態)であると認識すべきです。

金融緩和の副作用が騒がれています。しかし、それはマイナス金利政策です。マイナス金利政策は、日銀当座預金の一部にマイナスの金利を課す政策です。なんなら、これは止めたらよいでしょう。日銀当座預金はすべて金利ゼロにすればよいと思います。

ゼロ金利の状態を続けていると、次に金融危機とデフレ不況が生じた際に、金利対策が取れないとの批判もありますが、それは間違いでしょう。ヘリコプターマネーという政策がバッチリ残っていますので、心配ありません。

いつデフレに逆戻りするかわからない経済環境では、金融緩和はニューノーマル(新常態)だと考えるべきでしょう。