2022年4月20日水曜日

騒いでも遅い、円安は当然の成り行き

 最近はマスコミが「20年ぶりの円安だー」などと書き立てるものだから、多くの国民が釣られて「円安で大変だー」と大騒ぎしているが、そんな短期的なことで騒いでも、マスコミに振り回されるだけです。そもそも円安になるような失政をやってきたツケが回ってきたのであって、それを正さなければ、場当たり的に為替や金利を操作したところで、本質的な解決にはなりません。

 なぜ円安なのか?円が実力以上に高すぎたのです。つまり、正常化に向かっているわけです。というのも、日本国(日銀および政府)は、他の先進国に比べて、おカネの発行を常に少なく抑えてきた。おカネの発行量が少ないのだから、日本の円は量が少なく、ゆえに円は、実力以上に高く取引されてきたと考えらます。カネを刷らないことで、円の価値を高めに維持してきたのです。


 ですから、本来、他の先進国と同じ程度におカネを発行(供給)していたなら、円の水準は昨年あたりの110円といった水準ではなく、例えば120円や130円といった水準になっていたとしても不思議はありません。ですから、今日の円安はあるいみ当然と考えられます。

 しかも、このカネを刷らないケチケチ根性のために、リーマンショック後の世界的な金融緩和に乗り遅れ、民主党政権の時代には、円は80円台という異常な高値を付けました。しかも、それを日銀も政府も放置したため、なお一層、日本の企業が中国などに移転し、日本の産業空洞化を加速させました。日本から産業が逃げてしまったのですから、日本から海外への輸出は減少し、これは為替市場における円売り、つまり円安の下地となります。つまり、産業空洞化によって日本の実力はすでに低下していたのです。にもかかわらず、円を刷らないことで、見かけ上、今日まで円の購買力を保ってきたに過ぎません。

 そして、円高放置で産業が空洞化した雇用の穴埋めとして、日本は海外からの観光客に依存するように、産業が急速に変化してきました。産業を中国に移転し、その中国からの観光客に依存する経済構造になったのです。そして、その中国からの観光客が、こんどは新型コロナのパンデミックによって、日本に来なくなった。これで、円安にならないとしたら異常です。

 ところがマスコミは、それら円安の背景にある根本的な原因をすべてスルーし、あたかもすべての原因が「日銀の金融緩和にある」かのような書き方を平気でして、騒ぎ立て、多くの国民を釣っているのが現状なのです。なんという、安易で愚かな連中なのでしょうか?

 では、どうすれば良いのでしょう?

 円安によって購買力が低下するのですから、財政出動として、給付金によって生活を支援すれば良いのです。例えば月額3万円をすべての国民に恒久的に支給します。小額ベーシックインカムです。低所得層(世帯年収200万円以下)に限定した給付でもよい。とにかく財政出動を毎年50兆円くらい行う。そうすると、物価が上昇してくるので、日銀が金利を引き上げることが可能になります。こうして日銀が金利を引き上げれば、アメリカと日本の金利の差は小さくなるため、円安はある程度の水準で落ち着くと思われます。

 つまり、金融緩和でおカネを供給するのではなく、財政出動でおかねを供給し、金利は引き上げる。

 ただし、それらはあくまで短期的な対策にすぎません。根本的には、日本国(日銀および政府)が他の先進国と同じレベルでおカネを供給し続けなければなりません。問題の元凶は「ケチケチして他の国よりカネを刷らない」ということなのですから。そうすれば、民主党政権時代のような異常な円高になりません。また、しばらくは円安を容認すべきです。苦しいかもしれませんが、そうしたなかで、円高放置ですっかり空洞化してしまった産業(生活必需品の供給)を日本国内に再建し、それで雇用を生み、観光客に依存しないバランスの取れたグローバル経済によって、円の水準を安定的に保つべきであると思います。