2017年6月20日火曜日

アベの一億総活躍社会は20年古い

安倍政権の推進する一億総活躍社会は20年古い。失われた20年に突入する頃にその政策を唱えたなら、もろ手を挙げて賛同します。しかし人工知能やロボットの本格的な普及を目前にした現代では、もはや時代遅れも甚だしいと思うのです。

理由は簡単です。人工知能やロボットによって労働力が加速度的に必要なくなるわけですから、すべての人を活躍させる(仕事を与える)ことは早晩、不可能になるからです。もちろん1~2年先の話をしているのではありません。ビジョンのことです。ビジョンとして、いまさら「総労働社会」を打ち出しても、すぐに陳腐化するでしょう。これからは「所得保障社会」なのです。

ところで安倍政権は「人材投資」などと言い出しました。これは明らかに民進党などが主張している「人への投資」へのあてつけなのです。実際のところ人への投資は意味のあることです。しかしそれより何より、民進党の主張する政策の「お株を奪う」効果が高いのです。一億総活躍にしろ、人材投資にしろ、賃金の上昇による経済の好循環にしろ、これを自民党がやれば、もはや民進党にはイデオロギーで騒ぐ以外に出番はありません。

なぜ民進党の出番が無いのか?それは民進党が50年くらい古いからです。安倍よりもさらに古い、労働組合運動の華やかなりし時代に、今でも生きているからです。労働者の権利、雇用の確保、賃金引上げの枠でしか政策を考えられないため、それを先に打ち出されてしまえば、もはや民進党に出番はありません。

だから、安倍政権の先を行くビジョンが必要です。

安倍政権のビジョンは古い。だから人工知能やロボットの普及を見据えたビジョンを打ち出すことで、安倍政権の政策を陳腐化することが可能なのです。もちろんビジョンは実行可能なロードマップを示す、具体的な行動手順を示す、など緻密な提案でなければ意味がありません。それこそ技術者を集めて本格的な政策立案を行う必要があるでしょう。また、そうした技術者を集めたオープンな会議や講演会を行うことで、党の先進性を打ち出し、イメージアップや支持率向上を図ることもできるでしょう。

もし優れたビジョンと計画を示すことが出来れば、それこそ政権交代に相応しい政党に生まれ変わるでしょう。そして、それが出来て国民に認められる事で、支持率が高まるわけです。安倍政権を引き摺り下ろせば支持率が高まるわけではありません。

しかし、日本の野党にそれを望むのは無理かも知れませんね。日本の野党はあいかわらず50年前の時代を、いま、生きている人々なのですから。