グローバリズムに反対する声が世界でも日本でも広がりつつあることは、非常に明るい話題です。しかし、単にグローバリズムを否定することが、正しい反グローバリズムではないと思います。
私は、グローバリズムのすべてが悪いとは考えていません。交通機関が発達し、インターネットが普及し、世界の人々が交流するようになるのは必然的な流れだし、相互に影響したり、相互に協力することで、それぞれの国、それぞれの地域の人たちの生活が豊かになる、幸福度が増すことは良いことです。
あるいは、地球規模で進行している環境破壊、地球温暖化の問題、あるいは、地球に地域的に偏在して存在する資源の利用について、爆発的に増加する人口問題、こうした課題はグローバルに世界が協力して取り組まねば解決は難しいでしょう。
こうした分野におけるグローバリズムについては、何も反対する理由はありません。どんどんグローバルな交流や協力を推し進めるべきなのです。
問題は、「いわゆるグローバリズム」が「拝金主義」であることにあります。美しい理想とは裏腹に、実際には資本主義むき出しの、金儲けのためにグローバリズムが利用されています。もちろん、これらを推進する人々は「金儲けのため」なんて、なまなましいことは言いませんw。当たり前ですね。美しい理想を語ります。しかし、実際にやっていることは「金儲け」であり、カネさえ儲かればよいとする「拝金主義」なのです。
だからこそ、理論的にはすべての人々に恩恵をもたらすはずのグローバリスムが、一部の富裕層、大企業の幹部や社員だけにもたらされる結果となっているわけです。つまり、今のグローバリズムは「拝金主義グローバリズム」であり、いわば「悪いグローバリズム」なのです。反グローバリズムは、この「拝金主義の、悪いグローバリズムを叩き潰す」運動でなければならないと思います。
とはいえ、何十年もかけて徐々にグローバルな経済システムが世界各国の経済システムに取り込まれてきたため、これを、たかだか1年や2年でひっくり返すことは現実的ではありません。混乱を招き、逆に人々を苦しめる事態になりかねないのです。つまり修正にも時間が必要です。
グローバリズムが間違いであったとしても、感情的になって、国内の外国人を攻撃したり、ヘイトスピーチを行なう、あるいは、自国が大切とはいえ、他の国を無視した形で、無理矢理に自国第一主義をごり押ししたのでは、混乱を招くだけで、人々の生活にとって逆効果です。
こうした状況にあって優先すべきは、拝金主義グローバリズムの毒を軽減する政策を検討して早急に実行する必要ことだと思われます。グローバルな拝金主義のシステムは、時間をかけて修正しなければならないでしょう。
①分配を強化する
グローバリズムの恩恵は、グローバル大企業とその株主、経営者、社員などに限られ、多くの庶民に恩恵はありません。関税撤廃で輸入品が安くなったところで、大多数の人は所得が増えないのですから意味がないのです。貨幣を広く分配することによって、初めて、グローバリズムによる恩恵がすべての人に行き渡るわけです。分配の強化はグローバル化において「必須」と言えます。その一つの方法として、ベーシックインカムのような、継続的な国民への給付金(配当金)が必要だと思います。
②移民を厳しく制限する
移民も拝金主義そのものです。なぜ拝金主義者が移民を推進するかと言えば、「安い労働力が欲しいから」です。その結果、国内の労働市場において賃金が低下したり、失業が増加するのです。さらに、移民の多くは「カネが欲しいから日本に来る」つまり拝金主義的な移民です。そうした移民にとっては、日本も日本人も「カネのために付き合うだけ」の存在です。それが、国内に「もともと、なかった軋轢」を持ち込むことになります。これは、本来あるべき移民の姿ではありません。もちろん、すでに述べたように、すでに日本で生活している外国人を排除しろという話ではありません。
③途上国への支援強化と共生社会
移民問題を真に解決する方法は、移民を受け入れることではなく、移民元である途上国を豊かな国にすることです。自国を捨てて外国に逃げ出した移民だけを幸福にするのは、不公平です。途上国の人々は、すべて豊かになる権利があるし、それを先進国が手助けすべきなのです。一方、先進国は資源が乏しいが資本や技術があり、途上国は資源はあるが、資本や技術に乏しい。それを、資本主義的なカネ儲けや、搾取・被搾取の関係ではなく、もっと理性的な互恵的なやりかたで、持続可能な形で、交換するといった協力関係を構築すべきだと思うのです。そして世界が同時に豊かな未来に向かって前進する。
それが正しい反グローバリズム運動でしょう。
以前の著作になりますが、拝金主義グローバリズムについて書いた電子著作がありますので、もしご興味があれば、ご覧ください。
拝金主義グローバリズム
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