人々が天動説を信じる世の中で地動説を唱えればまさに「異端」扱いです。地動説が世の中であたりまえだと思われるようになるまで約100年を要しました。「ベーシックインカムはあたりまえ」との認識が普及するのは容易ではありません。
コペルニクスが地動説を発表したのは1543年です。彼はその直後に病死しますが、その後に地動説を唱えたジョルダーノ=ブルーノは教会から「異端」とされて1600年に処刑されました。その後、ガリレイが地動説を支持するも異端とされて、1633年、地動説を取り下げました。それからケプラー、ニュートンを経てようやく地動説は「あたりまえ」と人々から認識されるようになりました。
その間およそ100年。それでも、一説によれば今もなおアメリカ人の4人に1人は天動説を信じているとされます。こと、自然科学においてすらそうなのですから、思想・信条の問題であれば、その程度はさらに大きくても何ら不思議ではありません。
生まれてからずっと「所得は労働の対価」である、と信じてきた多くの人々にとって、「所得は必ずしも労働の対価である必要は無い」との考えは、極めて異端でしょう。人間は常識に依存して生活する動物ですから、そうした人々を責めることはできません。そのような人間の常識を変えるには、どうすれば良いでしょう。
常識によって彼らが得ている利益は何かを明らかにし、その利益を尊重しながら、さらに彼らの利益を増やす方法として、「所得は必ずしも労働の対価である必要は無い」という、新しい常識を理解してもらうしかありません。焦りは禁物です。イライラして天動説の人に噛み付いても、迫害されるのは少数派の方ですから、にこやかに粘り強く、ウンザリするほど繰り返すしかないような気がします。マスコミの財源ガーなみに同じ事を繰り返すわけですw。
焦らなくても、古い常識に縛られた人々の考え方を変えるための条件は整いつつあります。テクノロジーの爆発的な進化です。これがあれば、「所得は必ずしも労働の対価である必要は無い」ことが明白になるのは時間の問題であり、早晩、「いつから、どんな手順でそうするか」だけが論点になるはずです。