実家で購読している新聞が「資本主義系」の新聞なので、ピケティブームの火消しに必死の記事が散見されるのには笑えます。とはいえ、「左派系」の新聞は別の意味で内容が酷いので、とにかく新聞には何も期待できません。
さて、そんな笑える記事の中で、盛んに使いだしたのが「稼ぐ力」という単語です。マスコミは単純フレーズを連呼するイメージ操作を得意としますので、今回はこの「稼ぐ力」というのがそれに該当するような気がします。「格差問題を解決するには、再分配より稼ぐ力を増やせ」のように使います。しかし、相変わらずマスコミですから、「稼ぐ力」という言葉のイメージに依存するばかりで、そもそも稼ぐ力とは何かがまるで定義されません。
しょうがないので、こっちが定義することにしますw。稼ぐ力とは「付加価値を生み出すこと」と定義します。世の中の人々に必要とされる財を生み出すことが、稼ぐ力です。単に「カネを儲ける事」ではないと定義します。カネを儲けるだけなら、投機、土地転がし、高利貸し、サブプライムローン詐欺など何でもありですから。
一方、「稼ぐ力」とは別に「カネの力」が存在します。これは付加価値を生み出さなくても、カネの力でカネを得る事です。カネを儲けるだけなら、投機、土地転がし、高利貸し、何でもありですから。これがカネの力です。
すると、「稼ぐ力」と「カネの力」があることになります。
格差問題の核心は「稼ぐ力」ではなく「カネの力」がどんどん巨大化していることです。ピケティもそれを指摘しているはずです。つまり、
「稼ぐ力」=経済成長率 「カネの力」=資本利益率
新聞は盛んに「富裕層への課税は働く意欲を削ぐ」と言いますが、これは詭弁に過ぎません。富裕層への課税のうち、「稼ぐ力」に課税する必要などないからです。ピケティの資産課税は「カネの力」に課税する話なのです。たとえば、
「稼ぐ力」を減税する=所得税を減税し
「カネの力」に増税する=(金融)資産課税を創設する
稼ぐ力を減税してどんどん伸ばしましょう。そして不労所得である「カネの力」に課税しましょう。それなら、文句ないんじゃないですか?