2017年7月27日木曜日

リフレ派とケインズ派の喧嘩

ネット上では、しばしばリフレ派とケインズ派が喧嘩しています。自分はリフレとケインズの両方を支持してますから、この喧嘩はアフォらしくて見ていられません。どうして喧嘩になっているのか、自分の見立てを書いてみます。

リフレ派とは「金利操作」による景気や物価のコントロールを主張し、自由主義的な傾向の強いグループです。ケインズ派は「財政出動」による景気のコントロールを主張し、自由主義的な色合いは薄い(ネット上ではむしろ保護主義に近い)グループです。この両者は、民主党政権の頃は「脱デフレ」「金融緩和」で意見が一致して、共闘していました。しかし、アベノミクスで金融緩和が始まると、両者の違いだけが浮き出るようになり、互いに罵りあうようになりました。

リフレ派とケインズ派の喧嘩。自分の見るところ、最初に手を出したのはリフレ派のような気がします。リフレ派の一部の学者が「金融緩和だけすれば財政出動は必要ない」と言い出したと記憶しています。次に自由貿易の国際的なしくみであるTPPで対立。ケインズ派がTPPを批判するところ、リフレ派がTPPを強力に擁護して譲らず、いずれも両者が妥協点を探る気配ありませんでした。

第二次安倍政権の初期段階では物価が上昇し、景気も回復し、金融緩和による効果があるとされ、リフレ派は強気でした。そこでリフレ派の発言も強くなり、ケインズ派は旗色が悪く、押し込まれた状況におかれていたと思います。この段階でケインズ派の内部には相当なストレスが貯め込まれたはずです。

ところが、消費税の増税後、金融緩和の効果はどんどん失速を始め、政府が苦し紛れに「デフレではない」と言ったところで、インフレターゲット2%の達成は先送りされるばかり。失業率が低下しているにも関わらず実質賃金の伸びは鈍く、景気回復に対する国民の実感もほとんどないような状況です。

さらに、低金利で利ザヤの抜けなくなった金融街の連中が日銀の金融緩和には効果がない、出口だ出口だと騒ぎはじめました。そこへ経済素人の野党も便乗して、金融緩和は効果が無い、アベノミクスは失敗だと叫んでいます。

そこで窮地に立たされたリフレ派は「財政出動も同時にやるべき」と言い出し、この発言に最初から財政出動を主張していたケインズ派が激怒。いまさらなんだ、というわけです。そこへリフレ派が「いやいや、財政出動をやるなとは言ってない」と弁解するものだから、ますます炎上。

怒りの収まらないケインズ派は極論に走り始め、金融緩和は効果が無いと言い出し、リフレ派の攻撃に転じています。それが1~2年くらい前でしょうか、そこから先は知りません。あまりにもバカバカしいので、最近はリフレ派にもケインズ派にも、すっかり興味を失い、放置しています。もちろんこれは自分の見立てなので、違う部分があるかも知れませんが。

これが人間の愚かさではないかと思います。
なぜもっと広く、大きく考えられないのか。

どっちの理論が正しいかなんてどうでもいいんです。本当の敵は誰なのか?もう一度よく考えて欲しいですね。しまいには、どっちも愛想尽かされると思います。