平成の30年間、日本の経済は低迷を続け、格差が拡大して子供の貧困も問題になっています。その原因は極めて簡単かつ明白です。平成はカネ不足の時代だった。
カネ不足が平成の30年間に渡る日本経済低迷の唯一の原因である(断言できます)。と主張すると、「最近の金融緩和によってカネはじゃぶじゃぶではないか」と多くの人は思うに違いありません。なぜかといえば、マスコミ(新聞テレビ)が、そのようなウソを広めているからです。真実は統計を見れば一目瞭然です。
これは、マネタリーベース(MB)とマネーストック(MS)の伸び率の推移をグラフ化したものです。マスコミが主張している最近の「じゃぶじゃぶ」という主張はマネタリーベースのことです(グラフ青線)。しかし、マネタリーベースは、企業や家計の経済活動に使われるおカネではありません。企業や家計に使われるおカネはマネーストックと呼ばれます(グラフ赤線)。このマネーストックは、じゃぶじゃぶところか、カスカスの状態なのです。
昭和の時代(~1988年)はおよそ10%程度の伸び率でおカネが供給されてきたのですが、平成になると、ほぼ同時に、おカネの伸び率は3%程度まで下がり、それ以後、平成の終わりまで伸び率が10%になることはありませんでした。
そして、これこそが、日本経済低迷の唯一絶対の理由なのです。
それは極めて簡単に証明できます。なぜなら「バブル崩壊によって、経済活動が崩壊した」ことでわかるからです。バブル崩壊によって何が生じたのか?
経済活動とは何かといえば、それは財(モノやサービス)を生産して、それを交換することで世の中に分配する活動になります。財の生産こそ、経済活動の本質であり、財の生産と分配が大きければ大きいほど社会は豊かになるのです。
バブル崩壊によって、財の生産が明らかに低下しました。しかし、ここでちょっと冷静に考えるとわかりますが、バブルが崩壊したからといって、財を生産するための工場や商業店舗のような設備が破壊されたのでしょうか?あるいは、働く人が大量に死んでしまったのでしょうか?
そんなことはありませんね。生産設備も労働者も、バブル崩壊の前後で何も変わっていません。財を生産する能力は十分にあったのです。つまり、生産面においては何の問題もなかったのです。なのに、設備が動かなくなり、失業者が溢れ、生産活動が低迷する。
となれば、その原因は市場活動を媒介する「カネ」であると明確に理解できるでしょう。つまり、「どんなに生産設備や労働力があっても、カネがなければ生産活動は低迷する」。これは、バブルの前後の状況を説明することで、証明できるのです。
しかし、残念ながら、これを冷静に理解する人は少ない状況です。なぜなら、すでに述べたように、マスコミが「カネがじゃぶじゃぶ」などという、ウソ(フェイク)を撒き散らしているからです。
データを見れば一目瞭然ですね。おカネの供給が足りないのです。ところが、財務省が企んでいる財政再建はおカネを供給するどころか、世の中からおカネを回収して減らす政策なのです(緊縮政策)。まさに逆噴射ですね。
新しい年号は「令和」になったそうですが、カネが不足しつづけた平成の失政に見切りを付け、昭和の時代の、おカネの潤沢な経済に戻すべき良い機会にしなければなりません。
令和を、よりによって、財務省の主導により、消費税の増税によって、世の中のおカネを減らそうとする時代の幕開けにしてはなりません。それは、平成を上回る、さらなる低迷の時代に日本を叩き落してしまう恐れが、過去のデータからも理解できるのです。